１９６９年 フランス＝アルジェリア
監督 コスタ・カブラス
主演 イブ・モンタン 
ジャン・ルイ・トランティニャン

　古今東西永遠のテーマとはいろいろある。恋愛劇、復讐劇、権力闘争、そしてまたその権力を振り回す権力者に抵抗する民衆たち。権力はその行先を拒むものは嫌がり、人々も民衆を拒む権力を嫌がる。恐らくそれは、人類が存在していく上でその折り合いをつけるということは永遠のテーマだろう。ギリシャが軍事政権となり亡命した人達で国外で作られた『Ｚ』という映画はその権力に勝つ方法を教えてくれる。

　軍部が幅を効かせているある国で改革派Ｚ氏が暗殺される、勇気ある検事のおかげで真実があばかれるが、軍部がその証人たちを次々暗殺。検事までも殺される。その後成立した軍事政権は、文化的言葉を禁止する。その中で「Ｚ」という文字も禁止。「Ｚ」という文字の意味は「彼は生きている」という意味だからだという。
　「Ｚ」とはこの映画では、民衆の代表の不屈の精神の象徴、軍部はＺ氏と共に生きている民衆をも怖がったのである。このことはどこの国でも同じこと。この映画のいい所は後にギリシャの軍事政権は倒れ、再び民主政治が復活したこと。やり方によれば民衆も勝てるということだ。最近増えているミニコミ紙の規制はこの民衆達の声を権力が怖がっているということでもあると思う。
　映画『Ｚ』を見て、何を感じるかは見る側しだいだが、私達の中の「Ｚ」氏を見つけるのは至難の技なのだろうか。

シネマ見聞録

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