最近、公開される映画の中で話題になったのは、ディズニーの『ライオン・キング』この映画の主人公ライオン・シンバは、父の「ジャングルの王」ムファサを悪いライオンの叔父に殺され、ジャングルを追われる。しかし、シンバはその逆境にも負けず友達の助けを借りて悪者ライオンを倒し、元のジャングルの王になる、というお話。その根底には「強い者が勝つ！」という根強く流れている帝国主義的な考え方ある。邪悪な者は滅びて行き、正義が（強い者が）勝つ！なんてちゃんちゃらおかしい。一人のやたら戦いに強い王様をただ祭り上げるだけで立派な国ができるなんて、歴史上めったなことでは起こらない。
　いい奥さんがいて、いい国土があって、いい参謀がいて、いい国民（ライオンなる動物に自分の体を食べられても喜んでいるバカな動物達）がいて、なんていかにもアメリカ的発想は非常に危険だと私は思う。今、大ヒットしている『トゥルーライズ』の原爆の使い方も強烈だ。秘密情報員の男が、どこぞの国の（どうもアラブ系の男のようだ）テロリストにつけ狙われるが、その男の目的はアメリカ自身を、原爆で脅かすこと。さんざん、国家財産で最新兵器を壊しまくったあげく、ラストで大都市近くの（二十キロは離れているらしいけど）小島で、キノコ雲を上がらせる。その明るい閃光の下で、主人公夫婦はラブシーンを演じるわけでる。なんという無神経さ！二十キロ離れているにしたって後の海洋汚染はどうなる？「黒い雨」は降らなかったのか？ 単なる武器にしか考えないこの怖さ。先の『ライオン・キング』といい。原爆切手の販売といい。お気楽な所がいいなんて言うのはアメリカ人自身ぐらいなもんだろう。

　それとも、戦後五十年。どこかの島国と同じいろんな意味で「もうそろそろいいんじゃない」なんて思っているわけでもないでしょう？

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